Brouwerij Boon
ボーン醸造所(ブーン醸造所)

ランビックの語源となったと言われるブリュッセル近郊のレンベーク(Lembeek)という町はかつては独立国で、40以上のランビック醸造所、そしてグーズのブレンダーがひしめきあっていましたが、現在では片手で数えられるほどの醸造所とブレンダーしか残っていません。このレンベークの地で当時はまだ若かったフランク・ボーン(Frank Boon)さんが古い醸造所を買いとってランビック醸造をはじめたのは1975年。当時は時代の流れに逆行する愚かな試みだとも言われたそうですが、四半世紀が過ぎた今、彼を笑う者はだれもいません。この醸造所のビールとボーンさんのランビックにかける情熱は全世界に知れ渡っています。醸造所の現在の生産量は年間5200hlにもなります。


冷却と野生酵母の添加が行われる天井裏の部屋


野生酵母が添加された麦汁はいったんこのタンクに保管される
焙煎したモルトを粉砕し、水と一緒に煮こんで麦汁をつくり、そこにホップが加えられ、4時間かけてさらに煮こみます。この醸造所で使われるホップは、チェコ産かイギリス産のケント種です。苦味がもっとも少ないものを選んで使っているそうです。また、ランビック醸造の慣例に従い、ホップは古いものが用いられます。

天井裏にある浅いプールで麦汁の冷却と野生酵母の添加が行われます。この後、麦汁は高さ4メートル、直径2メートルほどの大きなタンクに一時的に入ります。このタンクには違う日につくられた麦汁を順番にブレンドして入れられます。つまり例えば、月曜日に作った麦汁をタンクに入れ、火曜日に作った麦汁を同じタンクに入れ、水曜日、木曜日にまた同じタンクに入れ、というように繰り返します。こうすることにより、品質をできるだけ均一なものに近づけようとしているのではないかと想像します。


数多くの樽が並ぶ広い部屋 圧巻!


樽にはいろいろな記号が書かれている
この後麦汁は、木製の大きな樽に入れられ、発酵と熟成が進みます。樽は非常に広い部屋に積み重ねて置かれています。大小さまざまな大きさの樽が薄暗い空間にずらりと並んでいるさまは圧巻です。

並んでいる樽を見ているといろいろな記号が書かれていることに気がつきます。記号にはいくつかの種類があり、一つは醸造が行われているところ(つまり醸造所)を示すものがあります。ボーン醸造所で醸造が行われたランビックの樽にはレンベーク(Lembeek)から取った“L”が書かれています。種類の異なるランビックをブレンドしてグーズをつくるので、別の醸造所で作られたランビックの樽も置かれています。例えば、ジラルダン(Girardin)醸造所製のものには“G”と書かれています。もう一つの記号は熟成途中のビールをテイスティングした結果を簡単なシンボルで表したもので、このサインを参考にブレンドの組み合わせを考えてテストブレンドを行い、それが良ければ実際にブレンドを行います。

グーズには1年ものと2年もののランビックが用いられます。ブレンドされたランビックは若いランビックに残存する糖分によって再発酵が起きます。クリークの場合は1年もののランビックとさくらんぼを混ぜ、次に6〜7ヶ月の若いランビックを加えて6〜7週間かけて再発酵を行います。


フランク・ボーンさんと筆者
このようにして出来上がったグーズやクリークは、他の伝統的ブレンダーのつくるものよりも若干甘めに仕上がっていますが、その複雑な味わいはまさに伝統的手法グーズおよびクリークのそれです。こうしたビールが日本でも味わえるのは幸せというほかありません。フランクボーンさんの話によると、ボーン醸造所のこれらのビールに驚いた日本の役人(おそらく国税庁)が、ほんとうにこれらがビールなのか(クリークは日本の法律では発泡酒となりますが)、そしていったいどんな方法で醸造しているのかを確かめるために、小西酒造の案内で日本からわざわざやって来たこともあるそうです。

なお、レンベークの町の中心にある教会のすぐ横に、ボーンのクリークの樽を飲ませてくれるカフェが一軒あります。試してみる価値はあります。

1999年9月19日訪問
2001年1月4日記


皆さんからの情報

Brouwerij Boon

Fonteinstraat 65, B-1502 Lembeek

TEL: +32 2 356 66 44
FAX: +32 2 356 33 99

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KENMOCHI Hideki <hideki@kenmochi.com>