6つのトラピストビールの中で最も入手困難な
ウェストフレーテレン(Westvleteren)を作っているセント・シクストゥス修道院(Sint Sixtus Abdij
)の向かいに、場所には不釣り合いな広い駐車場をもったカフェが建っています。これがカフェ In de Vrede です。de
はオランダ語の定冠詞、vrede とは「平和、平安」という意味です。この地域は第一次大戦中に激戦地となり、数多くの人々が犠牲になりました。近くの町イーペル(Ieper)は、跡形もないほど徹底的に破壊されました。イーペルはまた毒ガスのイペリットが使われた町としても知られています。現在では付近には平和な牧歌的光景が広がっていますが、それでもところどころに、英国兵士の集団墓地が点在してるのがいやでも目に付きます。このカフェの名前には悲惨な歴史を繰り返さないようにという平和への切実な願いが込められているそうです。
ところで、このカフェの名前を「自由亭」と訳してある本がありましたが、「平和亭」ならまだしも、なぜ「自由亭」と訳すことができるのかさっぱりわかりません。そもそも固有名詞である店の名前を無理矢理訳すことに意味があるとは思えません。
すばらしい牧歌的風景がまわりに広がる
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さて、このカフェは Westvleteren が飲めるカフェとして有名です。実際、修道院が Invoice
を発行するのはこのカフェだけだそうです。他のカフェのメニューに Westvleteren が入っている場合もありますが、これは修道院まで現金で直接買いに来ていると思われます。
ビールは Westvleteren だけで、他のビールは一切置かれていません。ビール以外の飲物はソフトドリンクだけです。食べ物は修道院製のチーズ(オレンジ色のコーティイングがされているもの)やサンドイッチなど簡単なものしかありません。Westvleteren
が飲めるということだけに存在意義があるカフェだといっても良いと思いますが、いつ行っても入りきれないほどの人で賑わっているのは、一度は行くだけの価値がある場所だからでしょう。

以前の建物 |
カフェの中には小さなショップがあり、ここでは持ち帰り用の Westvleteren、専用グラス、修道院製のチーズ、オリジナルTシャツなどが売られています。修道院が閉まっている時間帯や、ほんの数本だけ買って帰るような場合には便利です。
なお、このカフェはあまりに賑わいすぎていて、修道院から騒音に対して苦情が出たため、以前あった建物を取り壊して南側に新しい建物を建設し、そちらに移動しました。新しいピカピカのカフェも以前同様、非常に混雑していますが、スペースに余裕があるぶん、以前より落ち着いたように思われます。カフェの客は、古いカフェを懐かしみながらゆったり、わいわいとやっています。
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