ベルギービールと聞いて、まずデュヴェル(Duvel)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。モールトハット醸造所はこのデュヴェルを作っている醸造所として有名です。醸造所はブリュッセル(Brussel/Bruxelles)とアントウェルペン(Antwerpen)のちょうど中間にあるブレーンドンク(Breendonk)という小さな町にあります。1871年、ヤン=レオナルド=モールトハット(Jan Leonard Moortgat)という人がこの小さな町で醸造所をはじめました。はじめは本当に小規模な醸造所だったのですが、彼は自分のところのビールをブリュッセルまで馬車に乗せて運び売り歩き、この醸造所のビールはブリュッセルの中流階級の人々の間で人気となりました。 ヤン=レオナルドの引退後、彼の子供のアルベルト(Albert)とヴィクトール(Victor)が後を継ぎました。アルベルトが醸造を、そしてヴィクトールがセールスを担当しました。当人気のあった英国風エールを作るのに必要な酵母を手に入れようと、アルベルトは英国に渡っています。このときに得た酵母は現在でも使われているそうです。
醸造所は両大戦での困難をくぐり抜けて順調に発展を続け、現在の生産量は年間19,000klで、ベルギー国内では第6位の醸造所となっています。それでもどこの大手系列(インターブルーなど)にも属さない独立した醸造所です。 さて、Duvelがこの醸造所でどのようにして作られているか、簡単に見てみましょう。すりつぶした麦芽と水を3時間煮こんでできた麦汁にホップが加えられます。ホップはチェコ産かスロヴェニア産のザーツ種のホップを用います。その後、冷却され酵母が加えられ、4〜5日間をかけて発酵が行われます。発酵が行われるタンクは巨大なもので、下部はコーン型になっていますが、上部は醸造所の屋根の上まで突き抜けていて、醸造所の敷地内に入るとひときわ良く目立ちます。タンク1つに200,000リットルも入り、それが全部で19個もあります。見学の途中でこのタンクの中で発酵途中のDuvelを飲ませていただきました。若干苦味がきつくて炭酸も全く感じられず、不思議な味わいでした。 さて、次にビールは0℃に冷やされ、3週間かけて熟成されます。この段階での熟成は小さなタンクで行われますが、タンクの蓋がガラス張りの建物の中にぎっしりとならんでいるさまは、外からも眺めるとまるで何か巨大な昆虫の巣のようです。できあがったビールは瓶や樽に詰められますが、このときに瓶内再発酵のための糖分と酵母が加えられ、22℃の部屋で15日間保管されます。次いで、ビールは充分に冷たい部屋(5℃)に運ばれ、そこでさらに6週間熟成されます。このようにして出来上がったDuvelのすばらしい味わいは皆さんご存知の通りです。 醸造所で作られているビールはDuvelの他に、マレツー(Maredsous)そして、ピルスナーのベルピルス(Bel Pils)があります。Duvelも通常の赤い文字のDuvelの他に、緑の文字で書かれたDuvelがあります。これは赤Duvelを低温殺菌してからろ過したものです。 醸造所のウェブページもあります。URLは http://www.duvel.be/
です。覚えやすいですね。オランダ語版、フランス語版のほか、英語版もあります。醸造所の歴史や醸造プロセスなどについて、詳しくはこちらをご参照下さい。 |
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