誰にも話せない座長のデリトレ秘話 (H田家編)
塩辛に祟られた一家
デリ・トレメンバーは何故かイカの塩辛に目が無い。何故かというと、この塩辛、座長がわざわざ早朝出撃して釣ったイカを新鮮なうちに秘伝の方法で仕込むという、沖釣り師にしか作れない極上イカ塩辛だから無理も無いのだ。
この塩辛(通称:越後屋印の塩辛)を食べてしまうと、桃○のイカの塩辛なんか、とても食べられなくなってしまうらしく、特にメンバーH田家の身内には禁断症状まで出てる家族までいるらしい。
しかし、いくら評判の高い越後屋印といえども弱点はある。イカの塩辛の原材料である駿河湾のスルメイカが釣れるのは、主に4月から8月一杯。8月を過ぎるとイカもさすがに老年期に差し掛かるのか1年間で一生を終えるスルメイカもさすがに身肉もみずみずしさが消え、食感の点で劣るため越後屋印のラベルを貼るわけにはいかない。
本来冬の食べ物のはずであるのに越後屋印のラベルを貼られるがゆえ、晩春〜盛夏までの食べ物となってしまうのは、実はこ〜いうカラクリだったのである。
たまにH田家に遊びに行ったりすると「塩辛まだ???」とうるさくてかなわない。
滅多に一般家庭に献上する事など考えることすら出来ないタイやヒラメを持っていった時でさえ、
「・・・で、塩辛はまだなの???」こうなると、まさしくビョ〜キである。
しかし、筆者がかつて一番唖然とした出来事は以下のとおりである。
ある日、H田家のダンナが珍しく愛娘のMちゃんを連れて座長宅を訪問、手に持っていたのは越後屋印の空き瓶だった。
デリ・トレメンバーが空き瓶を持ってくるのは、実は「早く次の塩辛を作れ!」という暗黙の了解を意味する。(なんてヤツらだ・・・。)
しかも中を丁寧に洗いピカピカにした状態で持ってくるからなおさらタチが悪い。
H田家ダンナ:「今日はねえ、ウチのMが青島さんに渡したいものがあるんだって・・・。」
座 長 :「あ、っそう?」(・・・う!悪い予感が走ったのはいうまでも無い。)
そういってMちゃんから渡されたものは筒状に丸められた画用紙だった。
中を開けて見ると、そこにはクレヨンで描かれた船に釣りオヤジの姿、海中には三角帽子に10本足の生物が泳ぎまくっているではないか。
座 長:「や、やられた・・・。」
しかし、驚くのはまだ早かった。
なんと、模様だと思っていた黒いクレヨンをよく見ると、そこには習いたての平仮名でこう書かれていたのである。
あ おし ま さん ま た しおか ら つくって ね
う〜〜ん、さすがに清水市に名を轟かせる眼鏡屋の老舗の血を引く幼稚園児、末恐ろしいかぎりである・・・。